叙事詩

先日、知人のYさんから久しぶりにメールが届いた。

前回会ってから、もう何年経っているのだろう。

 

読むと「以前占っていただいたことを思い出したので」と書いてある。

ふと思ったらしいが、そういう時は何かに困っている場合が多いものだ。

その日は時間もあったので、すぐに会うことにした。

 

約束した時間ちょうどに、彼は現れた。

きっちりしている性格は変わっていない。

 

いろいろと話しをしていると、どうやら事業が厳しい状況らしい。

彼は数年前に起業し、マネジメント会社を経営している。

 

チャートを覗いてみると、その状況が記されていた。

 

ジョーティシュでは、運気の周期をダシャーと呼ぶ。

ダシャーは細分化が可能で、年月日まで特定できるものだ。

そのため、「いつ」「何が」「どうなる」かを正確に予測できるのだ。

 

彼のダシャーは、2016年12月(日は掲載しません)からガラッと変わっていた。

それまでの成功基調から混乱の様相を呈し、事業運営の苦しさを物語っている。

 

「やはり、そうか」

と思った。

そして、更に細部まで掘り下げて観てみた。

「何かの別のサインがあるはずだ。」

という確信もあったからだ。

 

すると、2019年9月からちょっと変わった表示があった。

 

彼の運営しているビジネスは基本的に日本国内でのものだ。

しかし、ジョーティシュでは海外での成功が暗示されている。

 

これは訊いてみないといけないな、と思い尋ねてみた。

「海外で成功する時期に入ったばかりだけど、何か心当たりはある?」

 

彼は、こう言った。

「僕は今こういう事業をしていますが、実は社会貢献がしたいんです。」

 

話を聞くと、ヴェトナムに人災育成の学校を創りたいのだそうだ。

それは、今後の高齢化社会を予測し、労働人口をいかに産み出していくかというテーマについて、彼が想いをはせていることだった。

 

現在の彼の事業はエンタテインメント業界を主たるフィールドにしているものだ。

教育とか人材という分野からは距離がある。

いわば、今の自分の業務とは全く異なっている分野だ。

しかも、ある種壮大なヴィジョンだ。

夢だと、バカにされることもあるかもしれない。

 

だけど、彼の眼は真剣だった。

そして、美しく輝いていた。

 

 

 

 

帰宅後、彼のチャートをまじまじと観た。

そして、海外での慈善的な活動が、ダルマ(天命)に含まれていることが分かった。

 

 

運気は良い時も良からぬ時もある。

追い風も向かい風もあるということだ。

 

しかし、向かい風の時期は、厳しい中にも、そこに新しい発見や学び、体験などがあることが多いものだ。

つまり、人が成長する時期なのだ。

 

成長することによって、それまでは手が届かなかったレベルの幸福に手が届くようになるのだ。

そういう意味では、良からぬ運気の時期が少ない方は、成長の機会も少ないと言えるかもしれない。

 

 

 

ジョーティシュは、人が一生をかけて歩む道筋を示している。

それは、まるで壮大な叙事詩を読むかのようだ。

 

人生はドラマだ、という言葉があったが

「ほんとだ」

とあらためて感じた日だった。